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海辺の環境を守る取り組み

ムラサキイガイを用いた洞海湾の環境修復

1. 趣旨

洞海湾は、明治23年から石炭の積み出し港として、さらには工業地帯として飛躍的な発展をしました。その一方で「死の海」と呼ばれるほど、洞海湾の水環境は著しく破壊されました。
このような中、昭和45年から工場排水などを規制した法律が制定され、またヘドロの浚渫や下水道の整備に伴い、洞海湾の水質はしだいに回復し、今では多くの生きものが棲めるようになりました。
しかし、水温が高くなる6~8月には、洞海湾では植物プランクトンなどによる赤潮や貧酸素水塊が発生します。これは洞海湾の水質が良くなったとはいえ、まだ富栄養化の状態にあるからです。
そこで北九州市は、洞海湾の海水中に多く存在する窒素とリンを取り込んで増殖する植物プランクトンをムラサキイガイに摂食させ、成長したムラサキイガイを陸上に取り上げて資源として利用する方法を開発しました。この方法によって、富栄養化した洞海湾の水質を浄化することができます。しかしながら、洞海湾は、湾口部から湾奥部までの環境の変化が大きいため、複数の環境修復手法を組み合わせる必要があります。
現在はこの手法を活用し、洞海湾周辺の小学校において、環境修復体験教室を実施しています。

2. ムラサキイガイを使った水質浄化の仕組み
  • 洞海湾は、閉鎖性の強い地形となっており、海水の流れが悪く他の水域に比べて「チッ素」・「リン」の含有率が高い状態にあります。
  • 海水中の「チッ素」・「リン」の含有率が高い状態を、富栄養化の状態にあると言います。
  • 浄化イメージ図
    洞海湾は、毎年夏場になると植物プランクトンなどが大量に増殖し、赤潮(※)や貧酸素水塊(※)が発生しています。富栄養化の状態にあるため、生物の生息環境としては非常に厳しい状況になっています。
    ※赤潮:植物プランクトンなどが増えて、海水が変色する現象のこと。
    ※貧酸素水塊:大量に発生した赤潮プランクトンなどが死んで海底に堆積し、この死骸を分解するために海中の解けている酸素が消費されて、酸素がほとんどなくなった状態にある水塊のこと。水産生物に壊滅的な影響を与える。
  • ムラサキイガイ(ムール貝)が赤潮生物(植物プランクトン)を摂食する能力を利用して水質浄化を行います。ムラサキイガイを一定期間後に海から陸上に引き上げることにより、植物プランクトンを海中から除去します。

    重要

    海中の「チッ素」や「リン」は、最初に「植物プランクトン」に取り込まれ、次に「ムラサキイガイ」に取り込まれる。この「ムラサキイガイ」を海から陸上に引き上げることで、「チッ素」や「リン」を海からとりのぞくことができる。

  • 「ムラサキイガイ」を用いた2つの理由
    ①洞海湾中央部にもともと多く生息しており、ロープに付着しやすい。
    ②海水中のチッ素の取込量が、アサリや底生藻類・干潟に比べてかなり多いことから、高い水質浄化能力を備えている。
3. ムラサキイガイって何?

地中海沿岸が原産地の二枚貝で、ムール貝とも呼ばれます。

ムラサキイガイ
もともと日本にはいなかった貝で、1932年に神戸港で初めて確認されました。
その後、分布を広げ、1990年代にはほぼ全国の海で見られるようになりました。
洞海湾では、湾奥を除くほぼ全域で見られます。
大きさは、最大10cmで殻は薄く、ややふくらんでいます。殻の色は黒紫色で殻の内側は青みがかった白色です。2月~5月にかけて、足糸(そくし)と呼ばれる糸状の組織で幼生が岸壁などに付着して成長します。餌はおもに植物プランクトンで、これを利用して水質浄化に用いることができます。

ムラサキイガイの水質浄化能力(チッ素の取込み量)

アサリの3倍以上
海藻の130倍以上
干潟の70倍以上

「海の再生ハンドブック」(2003)より

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北九州市港湾空港局 整備保全部計画課

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